李白 月下独酌    月下に独り酌(く)

花間一壺酒獨酌無相親 花間一壷の酒独り酌んで相親しむなし

舉杯邀明月對影成三人 杯を挙げて明月を邀(むか)え影に対して三人となる

月既不解飲影徒隨我身 月は既に飲を解せず影は徒にわが身に随うのみ

暫伴月將影行樂須及春 暫らく月と影とを伴いて行楽須く春に及ぶべし

我歌月徘徊我舞影零亂 我歌えば月徘徊し我舞えば影も零乱す

醒時同交歡醉後各分散 醒時同に交歓し酔後各々分散す

永結無情遊相期邈雲漢 永く無情の遊びを結び邈かなる雲漢に相期す




一番初めに好きになった漢詩のひとつだった。
これと「兵車行」とが高校生時代の通奏低音として響いていた。
青春の理由のない孤独感と渇きをこの詩が受け止めてくれたのだと今になって思う。ベトナムで米軍とベトナム人民の戦いが続き沖縄からB52爆撃機が飛び立ってハノイを爆撃していた時代が自分たち世代の青春であった。
 この詩は詮索を控えたくなるのだが、それでも何かまだ気づいていないものがこの詩にはありそうで、気になるが今暫し温めておく事にしたい。