千家詩 0039 聞笛 趙嘏

聞笛   趙 嘏   Wén dí      zhào gǔ(or Jiǎ)

誰家吹笛畫樓中 Shuí jiā chuī dí huà lóu zhōng
斷續聲隨斷續風 Duàn xù shēng suí duàn xù fēng
響遏行雲橫碧落 Xiǎng è xíng yún héng bì luò
清和冷月到簾櫳 Qīng hé lěng yuè dào lián lóng
興來三弄有桓子 Xìng lái sān nòng yǒu huán zi
賦就一篇懷馬融 Fù jiù yī piān huái mǎ róng
曲罷不知人在否 Qū bà bù zhī rén zài fǒu
餘音嘹亮尚飄空 Yú yīn liáo liàng shàng piāo kōng

誰家か笛を吹く 画楼の中
断続する声は 断続する風に随う
響きは行雲を遏(とど)めて碧落に横たわり
清きは冷月に和して 簾櫳に到る
興来りて三たび弄すに桓子有り
賦就(な)りて一篇馬融を懐う
曲罷りて知らず人在りや否やを
餘音嘹亮として尚空に飄(ただよ)えり


七言律詩 39  聞 笛    趙 嘏 
(全唐詩の中にこの詩が見えないことから、他の人の作かとも。しかしこの詩自体が全唐詩に見えないのである。千家詩編纂時に誤って入ったのか。しかしこの詩は多くに人に愛された作品でもある。)


☆画楼:美しい楼館、「画かれた楼」でもある。デザインド ハウス。
☆断続:きれぎれに、途絶えがちに、途切れ途切れに。風の声と笛の声。
☆碧落:青空の形容。
☆遏  :留める。
☆この聯は響:清、雲:月、横:到、などの対 で対句。
☆簾櫳:簾(すだれ)櫳(窓枠)窓辺の形容。
☆三弄、桓子:笛の名手。三度笛を吹くことを所望された。
☆馬融:「長笛の賦」を作った漢代の学者。

誰が住んでいるのだろうか、美しい楼閣の中から笛の音が聞こえる
風に紛れて消えるかと思えばまた響いて尽きない
その音色に行く雲は行き過ぎがてに青空にじっと横たわり
その清らかさは色冷めた月の光に和合して窓を照らしている
気分はもう桓子が三度笛を奏した時のように高ぶり
一篇の詩ができた時、馬融の故事が思い出された
いつしか曲は終わったが、吹いていた人はまだそこに居るのかどうか
嘹亮として空中に漂った笛の音は余韻をひいて、尚も聞こえているかのようだ